空き家を改装するだけではなく、その集落の魅力を滞在体験の中に落とし込み、日常の観光化を進めています。例えば、茅葺の高倉がある宿ではお祭りの時期に地域住民が集い、伝統的な踊りが披露されたり、伝統工芸の機織りが体感できたりする宿や漁港や集落の中心地に近く、島の暮らしを体感できる宿などさまざまなスタイルがあります。奄美群島の伝統行事や島特有の景色を守る伝泊事業は、伝統や伝説を次世代につないでいくことを使命としています。
このプロジェクトは、奄美大島の集落における空き家問題に関する相談を受けた奄美出身の建築家、山下保博が始めたものです。彼は奄美大島の魅力を理解している立場であり、伝統的・伝説的な建物を残し、島の歴史を多くの人に知ってもらい、次の世代につないでいくことが、 島を守ることであるとの想いから、宿泊施設としての再利用を提案しました。こうして生まれたのが「伝泊」です。 「伝泊 古民家」の条件は、島の伝統的構法を7割以上残す50年以上前の建物であることや、 島にとって伝説的なエピソードがあること、島の魅力を体感できるロケーションにあること、そして集落の人たちが協力的であることなどです。